コンパクトデジカメの限界
PowerShot S3 IS を購入して早1ヶ月半。これまでコンパクトデジカメに限界を感じた事なんて一度もなかった。それはきっと、カメラの機能や写真に対してそれほどこだわりを持っていなかったからだと思う。
だが、この1ヶ月半で、ある程度の基本的な知識を身に付けたことにより、コンデジに限界を感じることが多くなってきた。それは写真の腕の限界だろ!というツッコミはとりあえずおいといて…(^^;)。
まず、なにに限界を感じるかといえば、写真の「色」。今のカメラでは、自分の思うような色を上手くひきだせない。自分の望む色が引き出せないなら、家に帰ってからデジタル補正するまでなんだが、元データが既に圧縮されているJPEGデータ であるため、イメージを大幅に変えると画質の劣化を引き起こす。
例えば、ホワイトバランスを「蛍光灯」に設定して撮ったものをソフトウェア上で「太陽光」に近づけようとすると、寒色系の色から暖色系の色まで変化させる事になるので、面倒である上に、ほぼ間違いなく画質が劣化する。
例として、以下に4枚の写真を用意してみた。左がデジタル補正(レタッチ)なしの写真、右がソフトウェアでデジタル補正した写真。同じ写真でもコントラストを変化させるだけで全く別の写真のように仕上げる事ができる。ただ、少し大袈裟過ぎるぐらいにコントラストを強調させたので画像に無理が発生し、画質が劣化しているのがわかる。パッと見はわからないかもしれないが、ピクセル単位で見てみると画質は確実に落ちているのだ。4枚目は、その画質劣化を軽減させるために、全体的に多少のぼかしを入れている。
上記で説明した通り、JPEGデータでは多少の補正なら可能であるものの、画質を劣化させずに補正する事は得意ではない。そこで登場するのが、画質を劣化させずに補正できるRAW形式のデータだ。実際に、RAWデータをいじった事があるわけではないので大きな声ではいえないが、RAWデータで補正をかけると、画質を劣化させずに露出調整ができ、ホワイトバランスやカラーバランス、シャープネスなどを自分の思うがままに変更することができる。つまり、「現像処理」することが可能なのだ。
現像というと、銀塩フィルム時代ならば暗室にこもってその道の専門家だけが行っていた作業を思い浮かべると思うが、RAW形式のデータを扱えるカメラならば、特別な機材を必要とすることなく、すべての作業をパソコン上で行う事ができてしまう。RAW形式のデータをまだ調理されていない素材と例えるならば、JPEGデータは既に他人(カメラーメーカー)によって調理されてしまった素材ということになる。
生のデータを補正するのと、すでに加工されてしまったデータを補正するのとでは、どちらがデジタル補正しやすいかは誰の目から見ても明らかであろう。
次に限界を感じたのは、「背景のぼかし具合」だ。S3 IS では、開放絞り、望遠側にして被写体と背景との距離を離せば被写界深度が浅くなり、背景がいい感じにぼけてくれる。だが、このぼかしも一眼レフとなどと比べてしまうとはるかにボケが甘い。最望遠側にすればそれなりに大きなボケを得られるが、テレ端で撮影する機会は限られてくるし、構図の配置が難しくなってくる。ちょっと絞りを開放するだけで簡単にボケを得られる一眼レフとはわけが違うのだ。
さらに、S3 IS の ISO感度も非常に不満な点だ。ISO感度とは、室内や森林などの暗い場所で感度をあげ、シャッタースピードを速くすることで手ブレを防ぐというものだ。S3 IS は、一応、ISO800 まで対応しているが、実質使えるのはISO200 まで。ISO400やISO800で撮影した写真は、ノイズまみれで見れたものじゃない。厳しい事を言えば、ISO200でも若干、ノイズがのっかってくるので、できればISO100で撮影したい。だが、暗所での撮影となると、ISO100では間違いなく手ブレを起こし、やむなく感度をあげざるを得なくなる。これが、一眼レフならば ISO1600ぐらいまで実用で使えるレベルにあるのだ。この差は大きい…。このブログで掲載している写真に、夜の写真が少ないのはS3 IS は夜の撮影が苦手だからだ。誤解のなきよう補足しておくと、ノイズまみれになってもいいのならば夜の撮影も決して苦手なわけではないし、また、当然のことながら三脚を使用すればISO80で撮影する事ができるので最高画質で撮影する事ができる。
他には、以前も述べた27mmの限界だ。27mmでも36mm に比べればはるかに広角にはなったが、実際には27mmでは撮りきれないものが多いのも事実だ。例えば、下写真の木だ。これは、ワイコン27mmを装着して、姿勢を最も低くして撮影したものだ。だが、それでもこの大きな木は1枚の写真に収まりきらないのだ。
5つ目の不満点、それはファインダーの見難さだ。一眼レフのファインダーを覗いた時、その見易さに感動した。太陽を見ても全然眩しくない。しかも、周りの景色がはっきりと見える。しかし、S3 IS ではちょっとでも直射日光が当たると、ファインダー内が暗くなり、どんな被写体が入っているのか確認する事が極めて難しい。しょうがないので、いつも自分の目で確認している。
以上、いろいろとS3 IS の不満点をぶつけてきたが、正直なところ、S3 ISは自分のやりたいことが、このコンパクトさで実現できる点で名機だと思っている。だが、人間の欲望とは奥深いものだ。自分がやりたいことが少しでも実現できないとわかると、その上位機種が欲しくなってくる…。
言うまでもなく、デジタル一眼レフだ。
写真を趣味とする人はこうやって、カメラ地獄、レンズ地獄にはまって財布の紐が緩んでいくのだろう。当分、デジイチを買う予定はないが、欲しい衝動は容易に押さえつけられない(笑)。
うう~ほちいよぅ(><)。誰かプレゼントしてっ!!
NHKのドキュメントでシリコンバレーの男たちを放送、矢張りデジタルの写真は未だ開発途中で無理が有るようでね。今開発できる画素は精々一千万画素だそうです。メーカーは四千万画素を要求。可也無理が有るみたいです。
未だ銀塩写真に拘る理由が分かります。
投稿者: 銀塩男 | 2007年03月01日 23:01